既存不適格

既存不適格建物について

既存不適格(きぞんふてきかく)建物とは、建築時には適法に建てられた建築物が、その後法令の改正や都市計画変更等によって現行法に対して適合しない不適格な部分が生じた建築物のことを示します。
不適格建物については、構造以外にも様々な知っておくべきポイントがあります。

《容積/斜線などについて》

1、建物が建設された後に、指定容積率が変更され数値が小さくなった。解体して建て直そうと
  すると、計画建物は現在より小さくなる可能性があります。
2、昭和45年6月1日以前に建設された建物は、容積率の規定が定められておらず、 絶対高
  さの指定だけが設定されておりました。同様に、立て替えにより容積制限や斜線制限を受け
  て計画建物が小さくなる可能性があります。
3、建物が建設されたあとに、前面道路の拡幅により敷地が小さくなった場合、同様に立て替え
  により容積制限や斜線制限を受けて計画建物が小さくなる可能性があります。
4、建物の建設後に、敷地の一部(駐車場や窓先空地部分)が売却された場合

《用途地域による既存不適格》

1、都市計画上の用途地域の変更が行われ、新規の指定に適合出来なくなった場合。
  例→歴史ある大学、当時郊外に建てられた作業所・工場、遊戯施設、自動車車庫など

《増築・改築について》

1、工事対象範囲以外の部分にも現行法が遡及致します。
  例→ガラスの種類、階段の仕様、昇降機の遮炎性、バリアフリー関連法など

東京都の建築物記載証明取り扱いについてLinkIcon

既存の建築物に対する制限の緩和

既存不適格建物に対する緩和措置は複雑です。構造規定もたいへん解りにくい内容になっておりますので、ご注意ください。

法第86条の7 第一項

第3条第2項(第86条の9第1項において準用する場合を含む。以下この条、次条及び第87条において同じ。)の規定により第20条、第26条、第27条、第28条の2(同条各号に掲げる基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。)、第30条、第34条第2項、第47条、第48条第1項から第13項まで、第51条、第52条第1項、第2項若しくは第7項、第53条第1項若しくは第2項、第54条第1項、第55条第1項、第56条第1項、第56条の2第1項、第57条の4第1項、第57条の5第1項、第58条、第59条第1項若しくは第2項、第60条第1項若しくは第2項、第60条の2第1項若しくは第2項、第61条、第62条第1項、第67条の2第1項若しくは第5項から第7項まで又は第68条第1項若しくは第2項の規定の適用を受けない建築物について政令で定める範囲内において増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替(以下この条及び次条において「増築等」という。)をする場合においては、第3条第3項第三号及び第四号の規定にかかわらず、これらの規定は、適用しない。

86条の7、1項、2項、3項の制限緩和LinkIcon

政令で定める範囲(令第137条の2)構造耐力関係

一  増築又は改築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の1/2を超えず、かつ、増築又は改築後の建築物の構造方法が次のいずれかに該当するものであること。
イ  耐久性等関係規定に適合し、かつ、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃による当該建築物の倒壊及び崩落並びに屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の脱落のおそれがないものとして国土交通大臣が定める基準に適合する構造方法
ロ  第3章第1節から第7節の2まで(第36条及び第38条第2項から第4項までを除く。)の規定に適合し、かつ、その基礎の補強について国土交通大臣が定める基準に適合する構造方法(法第20条第四号に掲げる建築物である場合に限る。)
二  増築又は改築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の1/20(50㎡を超える場合にあっては、50㎡)を超えず、かつ、増築又は改築後の建築物の構造方法が次のいずれにも適合するものであること。
イ  増築又は改築に係る部分が第3章の規定及び法第40条の規定に基づく条例の構造耐力に関する制限を定めた規定に適合すること。
ロ  増築又は改築に係る部分以外の部分の構造耐力上の危険性が増大しないこと。

政令で定める範囲(令第137条の7)用途地域関係

一、 増築又は改築が基準時における敷地内におけるものであり、かつ、増築又は改築後における延べ面積及び建築面積が基準時における敷地面積に対してそれぞれ法第52条第1項、第2項及び第7項並びに法第53条の規定並びに法第68条の2第1項の規定に基づく条例の第136条の2の5第1項第二号及び第三号の制限を定めた規定に適合すること。
二、 増築後の床面積の合計は、基準時における床面積の合計の1.2倍を超えないこと。
三、 増築後の法第48条第1項から第13項までの規定に適合しない用途に供する建築物の部分の床面積の合計は、基準時におけるその部分の床面積の合計の1.2倍を超えないこと。
四、 法第48条第1項から第13項までの規定に適合しない事由が原動機の出力、機械の台数又は容器等の容量による場合においては、増築後のそれらの出力、台数又は容量の合計は、基準時におけるそれらの出力、台数又は容量の合計の1.2倍を超えないこと。
五、 用途の変更(第137条の18第2項に規定する範囲内のものを除く。)を伴わないこと。

その他、令137条の6~に注意の事

第3条第3項第三号 施行又は適用の後である増築、改築、大規模な修繕、大規模な模様替えに掛かる建築物または敷地
第四号の規定 前号に該当する建築物又はその敷地の部分

既存不適格建物の増築等ついて

建築基準法第86条7において、制限を緩和する規定が設けられておりますが、その取り扱いについて関連告示の改正、技術的助言が行われました。 平成21年9月

RC造やS造などの物件を増築する際、増築規模が既存部分の1/2以下で、既存部分が新耐震基準(昭和56年施行)に適合している場合は既存部分の改修は原則として不要となります。
また、W造一戸建て住宅など4号建築物の増築についても増築規模が既存部分の1/2以下を対象として、耐力壁等の基準を満たすことにより、これまで義務付けられていた構造計算が不要となります。 

国土交通省 既存不適格の増築についてLinkIcon

既存不適格の増築について(参考)LinkIcon

4号木造建築物 既存不適格の構造規定LinkIcon

国土交通省 耐震改修の認定LinkIcon

既存不適格建築物に係わる規制の合理化

令第137条の2を改正し、建築基準法(昭和25年法律第201号)第3条第2項により同法第20条の規定の適用を受けない既存不適格建築物に係る増築又は改築の特例措置について、増改築に係る部分の床面積が延べ面積の2分の1を超える大規模な増改築であっても地震その他の震動及び衝撃による当該建築物の倒壊等のおそれがない場合には、現行の構造耐力規定の全てに適合させることを求めないこととする。
平成24年9月

既存不適格建築物に係る規制の合理化LinkIcon

※既存不適格調書
地域の諸状況により検査済証を取得していない建物でも、既存不適格調書の提出により増築を認めていただける場合もあります。当時の法令に合致している事が判明出来る資料が作成できるか。意匠的にも構造的にも立証出来れば可能な場合がありますが、詳細は関係窓口との協議が必要です。

消防法の場合ついて

消防設備が不十分で既存不適格となっていたデパート、旅館などにおいて火災が発生するケースが多発したため、1974年の消防法改正において、公共的要素の高い旅館やホテル、デパート、病院、地下街などの特定防火対象物については、現在の基準に適合するよう義務付ける「遡及適用」の規定がありますのでご注意ください。

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既存不適格建物

平成7年に発生した阪神・淡路大震災によって改めてその必要性が認識された。平成10年に行われた建築基準法改正時には、建築物のストック対策以前に、確認検査等のフローの段階ですら法令遵守が徹底できていない状況を改めることが急務とされた。

基準時

既存建物の設計内容のどこがどのように不適格なのか、法令をさかのぼって調べることは大変困難な作業になります。下記の資料は、建築基準法の改正経過を条文ごとに整理りした資料で、既存不適格建物や用途変更する建物の基準時の法令状況調査が可能になる大変便利な資料です。

条文改正経過.jpg

01.bmp
過去10年の検査率の推移

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既存不適格建物の勧告・命令

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既存建築物の違反防止のための措置

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新耐震基準に適合しない建物で、増築に合わせて耐震改修する場合

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耐震基準及び防火避難規定について不適格があるビルについて、増改築に合わせて早急に耐震改修を進めようととした場合

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住宅の小規模改修を可能とする基礎補強

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